新しいトレーニング種目に挑戦するとき、「一体どれくらいの重さから始めたらいいんだろう?」と悩んだ経験はありませんか?
そんな際には、今すでに行っているトレーニング種目の記録を基に、新しい種目で扱う重量の目安を決めるというアプローチが役立ちます。
この記事では、
- 主要な筋トレ種目間の重量を換算するための便利な数式
- 重量を入力することで換算を自動で行うツール
をまとめます。
種目間の重量換算式とは?
種目間の重量換算式とは、ある特定の筋トレ種目の挙上重量を使って、別の種目の最大挙上重量を予測するための計算式です。
これらの換算式は、多くの人々のトレーニングデータを統計的に分析した研究に基づいて作られています。
宅(タク)
もちろん、これから紹介する式は万能ではありませんが、新しい種目を安全かつ効果的に始めるための、心強いガイドになってくれるはずです。
ベンチプレス→上半身種目の重量換算
ここでは、上半身の代表的な筋トレ種目であるベンチプレスの重量から、他の上半身種目の重量を算出する換算式を紹介します (Wong et al., 2013)。
| 予測対象エクササイズ | 予測式 | 対象集団 | 基準回数 |
|---|---|---|---|
| マシンチェストプレス | マシンチェストプレス = 1.005 × ベンチプレス (kg) – 1.168 × 体重 + 231.805kg | 大学生 | 1回 |
| スミスマシンベンチプレス | スミスマシンベンチプレス = 0.95×ベンチプレス – 6.76kg | 大学生 | 1回 |
| バーベルアームカール | バーベルアームカール = ベンチプレス × 0.33 + 6.20kg | 大学生 | 6回 |
| ハンマーカール | ハンマーカール = ベンチプレス × 0.28 + 6.30kg | 大学生 | 6回 |
| ダンベルトライセプスエクステンション | トライセプスエクステンション = ベンチプレス × 0.33 – 0.60kg | 大学生 | 6回 |
| ダンベルショルダープレス | ショルダープレス = ベンチプレス × 0.42 + 5.84kg | 大学生 | 6回 |
| マシンベンチプレス | マシンベンチプレス = 0.89 × ベンチプレス + 5.72kg | 大学生 | 1回 |
ベンチプレス→マシンチェストプレスの換算
ベンチプレス→スミスマシンベンチプレスの換算
ベンチプレス→バーベルアームカールの換算
ベンチプレス→ハンマーカールの換算
ベンチプレス→トライセプスエクステンションの換算
ベンチプレス→ダンベルショルダープレスの換算
ベンチプレス→マシンベンチプレスの換算
スクワット→脚(下半身)の種目の重量換算
ここでは、下半身の代表的な筋トレ種目であるスクワットの重量から、他の下半身種目の重量を算出する換算式を紹介します(Ebben et al., 2008)。
| 予測対象エクササイズ | 予測式 | 対象集団 | 基準回数 |
|---|---|---|---|
| レッグプレス | レッグプレス = スクワット × 0.90 + 1.11 × 体重 + 25.35kg | 20代男女 | 1回 |
| スミスマシンスクワット | スミスマシンスクワット = スクワット× 0.73 + 28.3kg | 女性 | 1回 |
| デッドリフト | デッドリフト = スクワット × 0.83 + 14.92kg | 大学生 | 6回 |
| レッグエクステンション | レッグエクステンション = スクワット × 0.48 + 9.58kg | 大学生 | 6回 |
| ランジ | ランジ = スクワット × 0.52 + 14.82kg | 大学生 | 6回 |
| ステップアップ | ステップアップ = スクワット × 0.50 + 3.32kg | 大学生 | 6回 |
スクワット→レッグプレスの換算
スクワット→スミスマシンスクワットの換算
スクワット→デッドリフトの重量換算
スクワット→レッグエクステンションの換算
スクワット→ランジの換算
スクワット→ステップアップの換算
重量換算を使う際の注意点
これらの換算式は非常に便利ですが、利用する際にはいくつか大切な注意点があります。安全にトレーニングを行うために、必ず以下の点を頭に入れておきましょう。
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換算式には対象者による制約がある
これらの式は、特定の集団(例えば「活動的な大学生」など)のデータを基に作られています。性別、年齢、トレーニング経験、骨格などが異なれば、当然結果には誤差が生まれます。
基準回数挙上時の重さでの換算が基本
これらの換算式は、表に示す通りそれぞれ基準となる反復回数が決まっています。基準と違う回数(例えば10回など)で扱う重量を直接計算することはできない点にご注意ください。
あくまで目安として活用する
近年の研究では、これらの予測式の精度には限界があることも指摘されています。人にはそれぞれ得意な種目、苦手な種目があります。計算結果は参考程度にとどめ、まずは軽い重量で正しいフォームを確認することから始め、徐々に重さを調整していくことが重要です。
まとめ
内容をおさらい
- 今行っている種目の重量をもとに、新しい種目で扱う重量の目安を計算する「換算式」を紹介した
- ベンチプレスを基準に上半身の種目を、スクワットを基準に下半身の種目の重量を予測できる
- 性別や個人差、得意不得意があるため、換算式はあくまで目安として用いることが大切
主要な出典
- Wong, D. P., Ngo, K.-L., Tse, M. A., & Smith, A. W. (2013). Using bench press load to predict upper body exercise loads in physically active individuals. Journal of Sports Science and Medicine, 12, 38–43. https://jssm.org/volume12/iss1/cap/jssm-12-38.pdf
- Ebben, W. P., Feldmann, C. R., Dayne, A., Mitsche, D., Chmielewski, L. M., Alexander, P., & Knetgzer, K. J. (2008). Using squat testing to predict training loads for the deadlift, lunge, step-up, and leg extension exercises. Journal of Strength and Conditioning Research, 22(6), 1947–1949. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18978614/
- Cotterman, M. L., Darby, L. A., & Skelly, W. A. (2005). Comparison of muscle force production using the Smith machine and free weights for bench press and squat exercises. Journal of Strength and Conditioning Research, 19(1), 169–176.
- Simpson, S. R., & Rozenek, R. (1997). Comparison of one repetition maximums between free weight and universal machine exercises. The Journal of Strength and Conditioning Research, 11(2), 99–102.
