『細胞核オーバーロード』とよばれる筋トレ方法をご存じでしょうか。
- 筋トレのセオリーに反し”休まず毎日トレーニング”
- その結果「アナボリック・ステロイド級の爆発的な筋肥大 」 を引き起こせる
というハードながらも魅力的なトレーニング手法です。
宅(タク)
この記事で分かること
- 細胞核オーバーロードやり方
- 細胞核オーバーロードの仕組みや真偽
- 肩トレの初心者が取り組んだ際の効果
タップできるもくじ
細胞核オーバーロードとは?
宅(タク)
細胞核オーバーロードとは
筋肉に過負荷(オーバーロード)をかけることで細胞核(簡単にいうと筋肉のもと)を増やすトレーニング手法のことです。
通常の筋トレは、トレーニング⇒回復(数日)⇒トレーニング⇒…と休みつつ筋トレを行うのが主流。
ですが細胞核オーバーロードの場合、1か月間近く連続して毎日筋トレを行います。
このことで、細胞核の数を増やして筋肥大のためのポテンシャルを高めるのが狙いです。
毎日筋トレなんて、(2~3日程度感覚を空けてトレーニングをすべきという)超回復理論に反するのでは?と思った人がいるかもしれません。
実は超回復理論はそもそも誤訳で生まれた日本だけで使われる概念。
宅(タク)
オーバートレーニングでケガを引き起こさないように注意する必要はありますが、毎日トレーニングを行うのが必ずしも悪いわけではありません。
細胞核オーバーロードのやり方
細胞核オーバーロードは、具体的には以下の3ステップで行います。
- 1か月ほど毎日トレーニングを行う(追い込み期)
- 回復のために1~2週間ほど完全休息する(休息期)
- 通常のトレーニングプログラムを続ける(筋肥大期)
最近提唱されたトレーニング手法なので、細かなルールにはセオリーと呼べる手法は確立されていません。
ですが、上記はおおよそコンセンサスが取れている内容かと思います。
追い込み期については、特に意見が割れるのですが、
- 1日のセット数はトータル6セット
- 怪我を避けるため、低重量&回数は比較的多め
- 毎日トレーニングを続ける期間は1か月
といった辺りが主流なようです。
細胞核オーバーロードの原理
宅(タク)
『追い込み期に強い負荷をかけることで、細胞核が増える』
これが、細胞核オーバーロードの原理とされます。
念のためですが、通常の筋トレプログラムでも細胞核の数は増えます。
細胞核オーバーロードは、通常よりも効率的に細胞核の数を増やせる(可能性がある)プログラムだと理解しましょう。
ちなみに細胞核はトレーニングを辞めた後も数年は残り続けます。
トレーニングを再開した際には、以前の細胞核をもとにして筋肥大が起こるため(初回に比べて)速いスピードで筋肉がつきます。
この現象を「マッスルメモリー」と呼びます。
細胞核オーバーロードの効果は嘘?本当?
細胞核オーバーロードについて研究した論文はある?
残念ながら、細胞核オーバーロードを実証した、つまり、『一定期間、毎日トレーニングを続けることで効率的に筋細胞が増える』ことを論じた研究は存在しません。
以下に、細胞核オーバーロードの論文として語られる2つの論文について、なぜこれらが論拠とならないのかをまとめておきます。
細胞核オーバーロードが起こる仕組みは以下の2つのステップで説明されることが多いです。
- A:筋細胞に過負荷を加えると、ある日数までは筋肥大に先行して細胞核の数が増え続ける
- B:細胞の肥大を待たずに新たな刺激を加えれば、細胞核は増え続ける
ただ、どちらもしっかりと裏付ける研究はありません。
細胞核オーバーロードとして誤読されている論文①
参考 Myonuclei acquired by overload exercise precede hypertrophy and are not lost on detrainingNCBIAについて言及。ただし、人ではない動物を対象にした実験で、
- 細胞核が増えたのは6日目頃から
- 筋肥大は9日目から起きた
というだけ。
この論文でいえるのは3週間、毎日トレーニングをしたとしても(動物の場合)細胞核は増えた。ということのみ。
細胞核オーバーロードとして誤読されている論文②
参考 Strength and muscle adaptations in heavy-resistance-trained women after detraining and retrainingResearchGateA、Bのいずれにも言及しておらず、細胞核オーバーロードとは全く関係ない。(マッスルメモリーについての論文)
細胞核オーバーロードに取り組んだ結果
個人的には細胞核オーバーロードに取り組むことで、かなり筋肥大しました。
ただ、筋肥大した理由が
- 細胞核オーバーロードという筋トレ手法に効果があったから
- トレーニングボリュームが増えたから
- 毎日トレーニングを行うことで効かせるのがうまくなったから
いずれなのかは切り分けが難しいです。
また「アナボリックステロイド級の筋肥大」というのは明らかな誇張。情報の出所も不明確なため、この点は嘘と捉えて間違いないでしょう。
肩トレ初心者による細胞核オーバーロードの実施記録
取り組みルール
肩トレーニングで細胞核オーバーロードに取り組みました。
苦手部位であまり筋肥大できていない、使うダンベル重量が軽くて怪我をしづらい、これらが肩にした理由です。
▼取り組み方はこんな感じ
- 部位:肩
- 種目:インクラインサイドレイズ
- メニュー:20回×3セット
- 追い込み期間:60日
ポイントは、トレーニングボリュームを抑えめにして追い込み期間を延ばしたこと。
宅(タク)
- 週あたりのボリュームを肩トレの筋肥大に最適なトレーニングボリュームは20セットに合わせた
- ボリュームを詰め込み過ぎてケガをするのは避けたかった
という狙いがあります!
また、毎日続けることを重視して、体調によっては完全に追い込まなくともOKとしました。
経過:1~2週間目
1週間前後は中々順調な滑り出しでした。
宅(タク)
- フォームが少しだけ身に付いた気がする
- 使用重量をUPしても意外とラクにあがる!
2週目の後半から少し冷静な目に。経験が溜まってきたことで、実は肩に入っていない日があることに気付けるようになります。
宅(タク)
経過:3週間目
さすがにかなり疲労を感じて、少し飽きも感じます。
そこをグッと耐えて3週間も続けるとトレーニングが毎日のルーティンに組み込めた感が出てきました。
また、試行錯誤するも重量を下げた方がしっかり肩をターゲットにできることを確認。重量を下げて丁寧に行う方針に切り替えます。
宅(タク)
経過:1か月経過頃
1ヶ月頃、自分にあった効かせるフォームが固まりました。
宅(タク)
少しばかり肩が大きくなった感が出てきたのはこの頃からです。
40日も経つとマンネリ感が。フォームや重量などあまり成長がみられない一方で、毎日の疲労が抜けきっていない感覚が続きます。
経過:50日以降
漠然としたモヤモヤ感を感じている矢先に、体調を崩してダウン。
数日トレーニングを休んでいる間に「(感覚論ですが)このまま続けても筋肉に対する負荷をかけきれない」。そんな気がしたので、追い込み期間を10日弱早く切り上げました。
宅(タク)
細胞核オーバーロードに取り組んだ感想
現在は、筋肥大期なのでまだ細胞核オーバーロードのプログラムを最後まで終えたわけではありません。
ただ、現時点での実感として、確実に開始時より筋肉は大きく成長したと感じます。
宅(タク)
加えて、細胞核オーバーロードで毎日トレーニングを積むことで、「肩トレはこうやれば効く」という自分なりの感覚が確立できたことが1番の収穫でした。
細胞核オーバーロードはどんな人に有効?
前提として、通常の筋トレプログラムに比べて細胞核オーバーロードが優れているという根拠は今のところありません。なので、万人におすすめできる手法ではありません。
その上で細胞核オーバーロードがオススメなのは、
- 現在のトレーニングで中々効果が出ない(でなくなった)人
- 限界まで追い込むのが苦手な人
といった人達。
宅(タク)
現在のトレーニングで中々効果が出なくなった(出ない)人
筋トレを長く続けると筋肥大がある時点で頭打ちになることがあります。
そんな場合は、細胞核オーバーロードという新たな刺激で筋肥大が進む可能性があります。
筋肉への効かせ方が分からない人
筋トレのし始めは、中々筋肉に効かせるという意識が分かりづらいもの。
その点、”毎日トレーニングをする”細胞核オーバーロードはかなりの効果が見込めると感じます。
- 頻度が高くて習熟しやすい
- 続けるうちに筋肉痛になるのでどこに効くか分かる
筋トレをする度にフォームがゼロスタート。これで良いんだっけ?となる人は是非取り入れてみて欲しいと感じます。
宅(タク)
逆に細胞核オーバーロードをおすすめしない人
毎日トレーニングをする細胞核オーバーロードに取り組むには、それなりのやる気が求められます。
途中でガス欠を起こしてトレーニングが嫌になりそうな人は、細胞核オーバーロードではなく、自分のペースでトレーニングを行った方が筋肥大しやすいのではと感じます。
まとめ
- 肩トレ初心者が細胞核オーバーロードに取り組んだ
- 細胞核オーバーロードによる効果かの切り分けは難しいが、肩は明らかに大きくなった
- トレーニング停滞時、効かせ方が分からない人にはおすすめな筋トレ手法といえる