ストレートアームプルダウン完全解説|正しいやり方&鍛えられる筋肉 他

広背筋を鍛えるケーブル筋トレ種目であるストレートアームプルダウンについて、

  • 種目の概要(鍛えられる筋肉や効果など)
  • 正しいフォーム・重量目安・メニュー組みなど具体的な行い方
  • 効果を高めるためのコツや注意点

をまとめます。

宅(タク)

ストレートアームプルダウンを全く知らない人も、この記事を読めば日々の筋トレメニューに取り入れることができる!

ストレートアームプルダウンとは?

そもそもストレートアームプルダウンはどういった種目なのでしょうか。まずは、種目の概要やどの筋肉が鍛えられるか等をみてみましょう。

ケーブルを使い広背筋を集中的に鍛える筋トレ

ストレートアームプルダウンは、ジムにある「ケーブルマシン」を使用して行う、背中の広がりを作る広背筋(こうはいきん)を集中的に鍛えるための筋トレ種目です。

名前の通り、ストレートアーム(腕を伸ばした状態)でケーブルを引き下げる(プルダウン)動作が特徴です。

ストレートアームプルダウンの別名
ケーブルプルオーバー、ストレートアームラットプルダウンとよばれることもあります

ストレートアームプルダウンを取り入れる狙い

懸垂やラットプルダウンなど多くの背中を鍛える種目は、肘を曲げる動作を伴うため、腕の筋肉(上腕二頭筋)も同時に使われます。

宅(タク)

鍛えたい背中より先に腕が疲れてしまうことも!

その点、ストレートアームプルダウンは肘の角度をほぼ固定して行うため、腕の関与を最小限に抑え、広背筋に負荷を集中させることができます

MEMO
懸垂やラットプルダウンのように複数の関節が動く種目を「コンパウンド種目(多関節運動)」とよびます
MEMO
ストレートアームプルダウンのように主に1つの関節だけが動く種目を「アイソレーション種目(単関節運動)」とよびます

この特徴から、ストレートアームプルダウンは以下のような目的で取り入れられます。

  • 初心者の練習:「広背筋を使う感覚」をつかむ
  • ウォーミングアップ:トレーニングの最初に行い、広背筋を活性化させる
  • 追い込み・仕上げ:コンパウンド種目の後に行い、広背筋を限界まで疲労させる

ストレートアームプルダウンで鍛えられる筋肉

ストレートアームプルダウンで鍛えられるのは背中の筋肉群で、中でもメインに鍛えられるのは、背中の広がりを作る広背筋(こうはいきん)です。

また、動作を支えるために、二の腕の裏側にある上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)の長頭も補助的に鍛えられます。

ストレートアームプルダウンで得られる効果

逆三角形の体型(Vシェイプ)の獲得

ストレートアームプルダウンで鍛えられる広背筋が発達すると背中に広がりが生まれ、いわゆる「逆三角形」の体型(Vシェイプ)に近づきます。

また、背中が広がるとウエストが相対的に細く見える視覚効果が生まれるため、女性にとっては美しいボディラインを作るのに効果的です。

他の背中トレーニングの効率アップ

背中のトレーニングは、対象の筋肉を意識しにくい(効かせにくい)と感じる方が少なくありません。

宅(タク)

目に見えない体の後ろ側にあることも要因!

ストレートアームプルダウンは、広背筋の動きのみで行うトレーニングのため、行うことで「広背筋を使う感覚」を身につけることができます

この感覚を掴むことで、ラットプルダウンや懸垂など、他の背中を鍛える筋トレ種目の効率も高まります

ストレートアームプルダウンのやり方

ストレートアームプルダウンを実際に筋トレに取り入れるためのフォーム(具体的な動作)やメニューの組み方をみてみましょう。

ストレートアームプルダウンのフォーム

STEP.1
マシンの設定
ケーブルマシンのプーリーを一番高い位置(ハイプーリー)にセットしてバーを取りつけます。
STEP.2
基本姿勢をつくる
マシンから少し離れて立ち、足を肩幅程度に開きます。バーを順手(手のひらが体と反対側を向くように)で握ります。
STEP.3
スタートポジションを固める
バーを目線の高さまで下ろし、腕を前方に伸ばします。膝を軽く曲げ、上半身は直立させたまま体幹に力を入れて固めます。この時、肘は完全に伸ばさず、わずかに曲げた状態で固定します。
STEP.4
引き下げる(ポジティブ動作)
上半身の直立を保ったまま、バーが太ももの上部に触れるまで引き下げます。引ききった位置で、背中の筋肉をしっかりと収縮させます。
STEP.5
戻す(ネガティブ動作)と繰り返し
ゆっくりとコントロールしながらバーを開始位置(目線の高さ)まで戻します。STEP.4とSTEP.5の動作を繰り返します。
注意
動作中は肘の角度を変えないようにしましょう。肘の曲げ伸ばしを行うと、広背筋への負荷が減り、上腕三頭筋(二の腕)を鍛える「トライセプスプレスダウン」という種目になってしまいます。
注意
ストレートアームプルダウンは単関節種目であるため、高重量を扱うのには向いていません。無理に重い重量で行うとフォームが崩れて鍛えたい筋肉以外に負荷が逃げたり、怪我のリスクが高まります。適切な重量で丁寧に行いましょう
注意
本記事ではSchoenfeld, B. J氏によるフォームを採用しています。書籍によっては体を前傾させるフォームとしているものもあります

適切な重量・回数・セット数の設定方法

トレーニングの効果は、扱う重量と反復回数によって変わります。

自分の目的に合わせて適切な重量・回数・セット数を設定していくのがメニューを組む上で大切です。

トレーニング目標重量設定目標回数セットセット間の休憩時間
筋肥大
(ボディメイク、ダイエットの基本)
10〜15回で限界が来る重さ10〜15回3〜5セット1分〜1分30秒
筋力~6回で限界が来る重さ~6回2〜6セット2〜5分
筋持久力15回以上で限界が来る重さ15回~2〜3セット~30秒

出典(改変):Haff, G. G., & Triplett, N. T. (Eds.). (2018). NSCA ストレングストレーニング&コンディショニング (第4版). 特定非営利活動法人NSCAジャパン.

ストレートアームプルダウンは高重量を扱う種目ではなく、正しいフォームで筋肉の収縮と伸展を感じることが重要です。そのため、一般的な筋肥大の目安よりも、少し軽めの重量で回数を多めに設定するのがおすすめです。

宅(タク)

まずはフォーム習得のため、15回程度できる軽い重量で練習し、慣れてきたら筋肥大を目指すのがおすすめ!
MEMO
筋肥大、つまり筋肉を大きくすることは、基礎代謝が上がることで痩せやすく太りにくい体を手に入れることにつながります

ストレートアームプルダウンの代用種目

ダンベルプルオーバー

ジムにケーブルマシンがない場合や、自宅でトレーニングを行う場合の代用種目としておすすめなのが「ダンベルプルオーバー」です。

ストレートアームプルダウンと同様に単関節種目であるため、腕の筋肉の関与を最小限に抑えつつ広背筋を鍛えられます。

まとめ

内容をおさらい

  • ストレートアームプルダウンはケーブルマシンを使って背中の筋トレを鍛える種目
  • 腕の筋肉の関与が少なく、広背筋を集中的に鍛えることができる
  • 広背筋を使う感覚を掴む練習や、トレーニングの仕上げにも役立つ

主な出典

  • Schoenfeld, B. J. (2022). The M.A.X. muscle plan 2.0 (2nd ed.). Human Kinetics.
  • Stoppani, J. (2023). Jim Stoppani’s encyclopedia of muscle & strength (3rd ed.). Human Kinetics.
  • Delavier, F. (2022). Strength training anatomy (4th ed.). Human Kinetics.
  • Haff, G. G., & Triplett, N. T. (Eds.). (2018). NSCA ストレングストレーニング&コンディショニング (第4版). 特定非営利活動法人NSCAジャパン.