筋肉をつけたりダイエットに効果的だと話題のHMB。
誇大に広告された商品も多く
宅(タク)
なんて感想を持つ方も多いサプリメントです。今回はそんなHMBについて論文を参照しつつ、
- どういった人に、どのような効果があり
- どのような製品を選び、いつ摂取すればいいのか
といったポイントをフラットに見ていきたいと思います。
タップできるもくじ
そもそもHMBとは
HMBはプロテイン(タンパク質)が分解し体に取り込まれるまでの間に生まれる物質。初心者が筋肉を大きくするのにもっとも効果的なサプリメントの1つとされています。
HMBの正式名は「β-Hydroxy-β-
ロイシンとHMBの違いについてより詳しく知りたい方は「ロイシンとHMBの違いを分かりやすく解説」を参照ください
ロイシンとHMBの違いを分かりやすく解説という疑問が聞こえてきそうですが、十分に効果が発揮されるHMB量をプロテインから摂る場合、その量はとてつもなく多くなります。実質的にプロテインから十分なHMBを摂るのはムリなので、個別にHMBを摂取しようという話になる訳です。
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HMBを取ることで得られる4つの効果
このHMBには
- 「脂肪量の減少」(ダイエット効果)
- 「筋肥大の増大」(筋肉がつく)
- 「筋損傷の回復」
- 「加齢による筋肉減少の予防」
といった効果が確認されています。
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HMBのダイエット効果について
残念ながら現在、多くのHMBサプリメントでダイエット効果について過大な広告がなされています。残念ながら「HMBを飲むだけでぐんぐん痩せる」は間違いです。
というのも、体に強い影響を与える成分であれば、サプリメントではなく医薬品に分類されます。なので、HMBを飲むだけでダイエットはOKだと考えること自体がナンセンスです。
ただ、HMBを取りながらトレーニングを続けたところ脂肪が減りやすかったという研究は多く報告されています。そういった意味で、ダイエットに本気で取り組みたい人には間違いなくおすすめできるサプリメントといえます。
あなたはHMBを取るべき??
トレーニング初心者:HMBはぜひ取るべき
HMBは筋肥大のために取るべき重要なサプリメントです。
▼詳しくは「【いつから?】HMBは飲む時期で効果が決まる。具体的には…」に記載しています
★★【いつから?】HMBは飲む時期で効果が決まる。具体的には…ダイエッター:ダイエットを効率化したいなら取るべき
前述の通り、HMBはダイエットをサポートしてくれる力強いアイテム。
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筋トレ中~上級者:HMBの優先度は高くない
HCMの効果については20年近く議論が交わされていたのですが、2019年現在の結論としては、トレーニング経験者の筋肥大には「効果が見込めない」とされています。
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なので、基本的にトレーニングを既にしている方は基本的にHMBをとる必要はありません。プロテインの他にサプリメントを検討している場合は、クレアチン、もしくはEAAをおすすめします。
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筋トレ経験者にもHMBが有効な場合①
前述の通りトレーニーにとって優先度は高くないHMBですが、いくつかのケースでは効果的に使える可能性があります。まず、ボディーメイクの選手における減量時。というのも、HMBを摂取することで、筋肉量を落とさずに脂肪だけを落とすことができることが示唆されているからです。
筋トレ経験者にもHMBが有効な場合②
単体ではトレーニング経験者へ効果があまりないとされているHMBですが「クレアチンなど他のサプリメントと合わせて摂取することで、効果があるかもしれない」されています。筋肥大が頭打ちになってしまった人はこれまで使っているサプリに加えてHMBを追加することで壁を突破できる糸口が見つかるかもしれません。
筋トレ経験者にもHMBが有効な場合③
カトリック大学のSanchez-Martinezらが調べたところによると、経験者であっても柔道、ボートの選手にはHMBの効果があるかもしれないようです。
反対に、サッカーやラクビーの選手にはHMBの効果がなかったとされています。
また論文にもとづくものではありませんが、メジャーリーガ―のダルビッシュ有選手はHMBに効果があった、と語っているので野球選手の皆さんも取ってみる価値はあるかもしれません。
HMBの効果を調査した研究論文
前述の通り、現在HMBは
- トレーニング初心者の筋肥大を促進する
- ダイエットの促進する
サプリメントと国際的に結論付けられています。
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HMBの効果に関する研究論文①
Nissenらは2004年に、トレーニングをしていない大学生男子ににHMBを毎日3g摂取しつつレジスタンストレーニング(ベンチプレス&スクワット)を7週間続けてもらいました。その結果、平均して、
- 筋肉量(※)が+ 0.6 %
- 体脂肪(FatMass)は変化なし
- ベンチプレスやスクワットの成績が + 2.6~17.4 %
となりました。
彼らは、同様の調査をNCAA所属のアメリカ大学のサッカー選手にも実施したところ、
- 筋肉量(※)が+ 1.9 %
- 体脂肪(FatMass)が- 0.5%
- ベンチプレスやスクワットの成績が + 2.3 %
となっていてトレーニングの有無に依らずHMBの効果が見られました。
_HMBの効果に関する研究論文②
2000年にGallagherらは、トレーニング歴のない大学生男子に、HMBを毎日3ないしは6g摂取しつつレジスタンストレーニングを8週間つづけてもらいました。
すると、
- 筋肉量が+3 %
- 体脂肪(FatMass)が- 1.6%
- ベンチプレスやスクワットの成績が + 2~3.5 %
となり、筋肉量や体脂肪が大きく変わっています。
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HMBの効果に関する研究論文③
Jowkoらも、2001年に大学生男子を対象にした論文を発表しています。対象者に、HMBを毎日3g、クレアチンを10-20g摂取しつつレジスタンストレーニングを3週間続けてもらいました。すると、平均して
- 筋肉量が+ 0.6 %
- 体脂肪(FatMass)が- 0.7%
- スクワット・ベンチプレス・クリーンの1RM(1回持ち上げられる最大の重さが+ 9 %
となりました。
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HMBの効果に関する研究論文④
ほぼ同時期、Pantonらは、20歳から40歳の男女にHMBを毎日3ないしは6g摂取しつつレジスタンストレーニングを8週間続けてもらいました。その結果、HMBを取ったグループの方が
- 筋肉量が+ 0.5 kg
- 体脂肪(FatMass)が- 0.6%
- ベンチプレスやレッグプレスの1RMの成績が + 3~15 %
だけ結果が良くなりました。ちなみにトレーニング歴の有無でグループ分けでHMBによる効果の有無は変わりませんでした。
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HMBの効果に関する研究論文⑤
2004年、Hoffmanらは、大学のサッカー選手に、10日間3gのHMBを摂って普段通り練習を続けてもらいました。その結果、有酸素運動の能力に変化はありませんでした。
HMBの効果に関する研究論文⑦
Kreider RBらは、1年以上筋トレを続けたことのある大学生男子に、HMBを毎日3gないしは6g摂取しつつこれまで通りのトレーニングを28日続けてもらいました。しかし、筋肉量、脂肪量、トレーニングの測定結果いずれもHMBによる効果は見られませんでした。
HMBの効果に関する研究論文⑧
Thomsonらは、トレーニング歴のある大学生男子に、HMBを毎日3gとりつつ9週間、ほぼ普段通りのトレーニングをしてもらいました。その結果、
- 筋肉量が+ 0.4
- 体脂肪(FatMass)が- 3.8
- ベンチプレス、レッグエクステンション、プリーチャーカールの成績が + 1.1~9
となりました。
HMBの効果に関する研究論文⑨
Thomsonらは、13歳から18歳のエリートバレーボール選手についての論文も発表しています。バレー選手にHMBを毎日3gとりつつ7週間、レジスタンストレーニングと持久力トレーニングをしてもらったところ、HMBを摂取した場合の方が、筋肉量が大きく増加することが分かっています。また、トレーニング種目によっては、HMBを取っている方が成績がよくなりました。
HMBの効果に関する研究論文⑩
Ransoneらは、大学のサッカー選手に4週間、毎日3gずつHMBをとりつつレジスタンストレーニングと持久力トレーニングをしてもらいました。その結果、
- 筋肉量が+ 0.3
- 体脂肪(FatMass)が- 3.8
- ベンチプレス、クリーン、スクワット1RMの成績が 1.7%
となりました。
HMBの効果に関する研究論文⑪
同じく大学のサッカー選手を調べた研究でも、Kreider が2000年に調べた研究ではHMBによる効果はなしと報告されています。
4週間HMBを3gとりつつ、オフシーズンのコンディショニング&ストレングストレーニングをしてもらったところ、ベンチプレス・クリーン・スクワットの1RM、ショートダッシュを繰り返すトレーニングの成績がHMBを取っているグループ、取っていないグループで違いがなかったのです。
HMBの効果に関する研究論文⑫&⑬
O’Connorらが2007年にラグビー選手を調べた論文、Slaterが2001年による大学の男子乗馬選手の調査論文でもHMBによる効果は認められませんでした。
調査期間はいずれも6週間、毎日3gずつHMBを摂取しましたが、ベンチプレスなどトレーニングの数値に変化がありませんでした。
- O’Connor DM, Crowe MJ: Effects of six weeks of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) and HMB/creatine supplementation on strength, power, and anthropometry of highly trained athletes. J Strength Conditioning Res/ National Strength & Conditioning Assoc. 2007, 21: 419-423.
- Slater G, Jenkins D, Logan P, Lee H, Vukovich M, Rathmacher JA, Hahn AG: Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) supplementation does not affect changes in strength or body composition during resistance training in trained men. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2001, 11: 384-396.
HMBの効果的な取り方
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HMBを取る最適なタイミング
3gを1日に数回に分けて摂取することが推奨されています。なので朝・昼・晩に分けてとるのが良いでしょう。
また、トレーニングをする場合は、その1~2時間前頃に摂取するのがよいです。HMBが体に吸収されるのには2時間程度かかります。
あらかじめHMBをとっておくことで、トレーニング後に筋肉合成が始まったタイミングで、すぐさまHMBが活用されることになるのです。
HMBの最適な摂取量
一般的には1日あたり3gが摂取量の目安とされています。
もう少し細かく見ると、HMBが筋肥大を引き起こすのに最適な1日の摂取量は、体重あたり38mg(38mg/kg)とされています。
例えば体重70kgでは2.6g(38mg×70kg)となります。
HMBサプリメントの中には1日の使用量が1.5g程度と不足しているものもあります。そういった粗悪なサプリメントは避けましょう。
HMBの種類
HMBとHMBカルシウムは別物!?
HMBサプリメントの成分を見るとその多くが「HMBカルシウム」となっています。
と疑問に思われる方も多いと思いますが、基本的に同じものです。
HMBカルシウム以外のHMB
実は、HMBカルシウムはHMBの一種。他にも
- HMB-FA(遊離酸により生成)
- α-HICA
といったHMBがあるのですが、効果が高い訳ではなく市販もされていないので気にする必要はないです。
おすすめのHMBサプリメント
- HMB極ボディ
- パーフェクトパンププロテイン
- バルクアップHMBプロ
- ビルドメイク24
この辺りは初回500円でお試しができるのでオススメといえそうです。
▼わたしは以前、ビルドメイク24を使っていました
なお、500円で試せる条件として「○回分購入した場合」など条件がついている場合があります。なので、購入前には500円でお試しするための条件をよく見ておくことをおすすめします。
HMBの副作用
これまで多くの研究で「HCMの摂取が身体に及ぼす悪影響がないか」が調査されてきました。
Nissen SL, Abumrad NN: Nutritional role of the leucine metabolite B-hydroxy B-methylbutyrate (HMB). J Nutr Biochem. 1997, 8: 300-311. 10.1016/S0955-2863(97)00048-X.
- Gallagher PM, Carrithers JA, Godard MP, Schulze KE, Trappe SW: Beta-hydroxy-beta-methylbutyrate ingestion, part II: effects on hematology, hepatic and renal function. Med Sci Sports Exerc. 2000, 32: 2116-2119. 10.1097/00005768-200012000-00023.
- Nissen S, Sharp RL, Panton L, Vukovich M, Trappe S, Fuller JC: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB) supplementation in humans is safe and may decrease cardiovascular risk factors. J Nutr. 2000, 130: 1937-1945.
- Rathmacher JA, Nissen S, Panton L, Clark RH, Eubanks May P, Barber AE, D’Olimpio J, Abumrad NN: Supplementation with a combination of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB), arginine, and glutamine is safe and could improve hematological parameters. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2004, 28: 65-75. 10.1177/014860710402800265.
- Baxter JH, Carlos JL, Thurmond J, Rehani RN, Bultman J, Frost D: Dietary toxicity of calcium beta-hydroxy-beta-methyl butyrate (CaHMB). Food Chem Toxicol. 2005, 43: 1731-1741. 10.1016/j.fct.2005.05.016.
しかし、目に見える臨床観察から体の内部の血液検査まで、影響があるとの結果はいまだ報告されていません。このことを踏まえ、ISSNは「HMBは体にとって安全なサプリメントである」と太鼓判を押しています。
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HMBを飲むとハゲる!?
副作用として気にされるのがハゲないか。という点。結論からいってHMB摂取によりハゲることはありません。
AGA、いわゆるハゲはテストステロンという男性ホルモンが原因になります。そして、HMBにはテストステロンを増やすはたらきはありません。
HMBはもとより筋トレ用サプリメントで禿げないように気を付けるとすれば、男性ホルモンを活性化させる専用サプリ、具体的には
- テストステロンブースター
- アナボリックステロイド
を避けることくらいでしょう。
ちなみに筋トレによりテストステロンの分泌量が増えるため、筋トレをするとハゲるのでは!?と心配する人もいますが、筋トレによりテストステロンが増える量は微量なのでこれも迷信レベルの話。
宅(タク)
念のため、テストステロンがハゲにつながる仕組みを軽く説明しておきます。上ではテストステロンが原因と言いましたが、もう少し細かく見るとハゲに関わる要因はテストステロンの総量ではない場所に潜んでいます。
テストステロンは体内にある5αリダクターゼII型という酵素により、ジヒドロテストロン(DHT)に変化します。
このジヒドロテストロンに体が反応するとハゲるのです。一見、原料となるテストステロンが多いこともハゲの原因になりそうですが、
- 5αリダクターゼII型がどれだけ体にあるか
- ジヒドロテストロンへの反応しやすさ
の方がハゲるかに大きく関わることが報告されています。
つまり、原理的に考えても、筋トレやサプリでテストステロンを増やしてもハゲる可能性は低いと言えるのです。