ドーピングの1種類であり筋肉を成長させる作用のある、アナボリック・ステロイド。
- 筋肉への効果や副作用
- ボディビル/フィジーク界での蔓延
- 使用の是非
など、何か物議を醸す話題であるステロイドについて、徹底的に特集します。
タップできるもくじ
ステロイドとは?
アナボリック・ステロイドとは?
宅(タク)
アナボリックステロイドとは、タンパク同化作用を有するステロイドホルモンの総称。
そのはたらきから筋肉増強剤とよばれることもあります。
皮膚科などで処方されるステロイド剤(軟膏)。これは、炎症を抑える糖質コルチコイドという成分を指し、アナボリックステロイドとは別物です
ステロイドの筋肉への効果
ステロイドには、筋肉を大きくしたり、発揮する力を増大させる効果があります。
特に、ステロイドをとりつつ筋トレをすると、数か月で数キロと急激なスピードで筋肉がつくことで知られています。
宅(タク)
スポーツ界におけるアンチドーピング
スポーツの世界でドーピングが問題視されるようになったのは、19世紀中頃でした。
- 純粋に筋肉の大きさを競うボディビル
- スピードを競う陸上競技や水泳などの競技
- パワーが重要になるUFCなどの格闘技
およそすべてのスポーツでステロイドは競技力の向上につながる一方、当時は、ドーピングに関する規定がなかったため、多くの競技でステロイドの服用が蔓延。
しかし、人体へ害があるステロイドの乱用が問題視されはじめ、1960年のオリンピックでは自転車競技での死亡事故等を機にその危険性が大きく取り上げられ、アンチドーピングの仕組みが整備されました。
現在はオリンピック競技の認定スポーツはもちろん、多くのスポーツがドーピング検査を設けており、検査で陽性となった場合には永年の試合出場停止などの厳しい罰則が科せられています。
日本のボディビル団体、JBBFでは、違反者は過去数十年に渡って掲載しつづけられています。
宅(タク)
ステロイドの副作用
ステロイドは筋肉の成長に効果的な反面、利用には非常に大きな副作用を伴います。
ステロイドの副作用
- 肝障害・肝臓癌
- 高血圧症
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- ニキビ
- 毛髪の消失(ハゲ)
- 勃起不全(インポ)
ざっと上げるだけでこれくらい。
この他、内臓が肥大する(内臓も筋肉でできているのでステロイドに反応して大きくなります)、ガイノとよばれるち〇びが出っ張る現象に陥ることが知られています。
宅(タク)
ボディビル/フィジーク界でのステロイド現状
ステロイドが蔓延?
スポーツ界では度々問題にあがるステロイドですが、特にボディビル/フィジーク界では蔓延していると囁かれます。
- 世界ドーピング防止機構(WADA)による2017年の調査では、陽性率22%と不名誉ながら他のスポーツを押しのけ断トツの高さであったこと
- FWJ(旧NPCJ)から、ステロイド利用を控えるようにといった趣旨の声明が出されたこと
等も、ボディビル/フィジーク界でステロイドが広まっているとされる一因でしょう。
ドーピングチェックがない団体とその理由
日本において、ステロイドの服用検査を行っているボディビル/フィジーク団体はJBBFのみです。
IFBB・FWJ・JBBF他 フィットネス団体の特徴まとめ【フィジーク・ボディビル団体】FWJ・ベストボディジャパン・サマースタイルアワード等、JBBF以外の団体は、実態としてドーピング検査の運用を行っていません。
宅(タク)
健康のためにステロイドを使わない方がいいのは明白なのに、ドーピング検査を行わずに黙認している団体があるのはなぜでしょう。
それは、ボディビルやフィジークが“興行”としての側面を色濃く持つからです。
宅(タク)
ドーピング検査を行うのには多大な検査費用がかかります。一方で、迫力のある体の選手が出場したとなれば、それがステロイドに依るものであったとしても観客増につながります。
採算上、ステロイドの検査はしない方が都合がいい。そんな理由から、表面はアンチドーピングを語りつつ、実質は黙認するといった運用が続いているといえます。
ステロイド服用の疑惑がある日本人
IFBBプロは興行、つまりショーとしての色合いが強く、ステロイドの検査は行っていません。このことから、IFBBプロに所属する選手はほとんどがステロイドを使っていると考えられています。
IFBBプロを目指し、FWJでの優勝を狙っている選手もステロイドを使っている可能性が高いです。
目指す地点がステロイドありきのIFBBプロで、プロカード取得のため出場しているFWJでもステロイドの検査がない。こういった仕組みを踏まえると、ステロイド服用を控えるモチベーションははたらかないと考えられます。
一方、ドーピング検査を選手に課しているJBBFへの出場を続けている選手は、ナチュラルである可能性が高いと考えられます。
またこの他、
- ステロイドについて言及を避けている人(アンチドーピングのSNS動画を削除した人)
- 初心者でもないのに、数か月で急激な筋肉の成長が見られた
- バブルガットやガイノなどのステロイド副作用による体の変化がみられる
といった点も、ステロイドを使っているかどうか考察する上での1つの項目になります。
ボディビルコンテストに出なければステロイドを使ってもいい?
ボディビルやフィジークのコンテストに出るわけでもないし、副作用の大きさや発生確率次第ではステロイドを試してみてもいいかも。
宅(タク)
色々と調べた結論ですが「リスクが大きいのでステロイドは安易に使うべきではない」そう考えています。
ステロイドの使用は違法ではない
日本では、法律で使用が禁止されているわけではありません。
なので個人が海外から輸入・服用したとして法律で罰されることはありません。
使用した場合の高い健康リスク
メタアナリシスなど、包括的なステロイド服用の研究は見当たらなかったですが、服用リスクは極めて高そうです。
宅(タク)
早期死亡率が3倍に
Journal of Internal Medicine 2018年に掲載された論文によると、アナボリックステロイドの服用が男性の早死リスク増加につながる可能性があるとのことです。
デンマークでのジム利用者(545人のステロイド使用者を含む)において、ステロイドの服用者方が死亡率が3倍高かったという結果でした。
副作用を抑える方法が立証されたものではない
ステロイドを使う際には、ケア剤や休止サイクルといって、副作用が出ることを前提にそれを抑えるプログラムを組んで行います。
しかし、これらのプログラムは研究に基づいたものではなく経験則で編み出されたもののようです。
早期に亡くなるボディビルダーが多い
30~40代と若くして多くのボディビルダーが命を落としています。その一因がステロイドであったことは紛れもない事実です。
ステロイドが死因とされるボディビルダー
- リッチ・ピアナ 享年46歳
- マイク・マタラッツォ 享年47歳
- アンドレアス・ムンツァー 享年32歳
- モハメド・ベナジザ 享年33歳
- アート・ウッド 享年37歳
- マット・ドゥヴァル 享年40歳
- ダニエル・セカレッチ 享年33歳
- グレッグ・コバックス 享年44歳
- アンソニーMダレッツォ 享年44歳
- ファニー・バリオス 享年41歳
- エドワード・カワク 享年51歳
- ドン・ヤングブラッド 享年49歳
- マイク・メンツァー 享年49歳
- レイ・メンツァー 享年47歳
- フランク・ヒッレブランド 享年45歳
- バイトッラ・アッバスプール 享年35歳
- ポール・デマヨ 享年48歳
- ヴィンス・コムフォード 享年52歳
- ルーク・ウッド 享年35歳
- ダン・パケット 享年22歳
- スコット・クレイン 享年30歳
- グレッグ・デフェッロ 享年53歳
- ドン・ロス 享年49歳
- デレック・アンソニー 享年32歳
- ロン・テフェル 享年45歳
- デリック・ウィトセット 享年37歳
- チャールズ・ドゥラ 享年44歳
- エド・ヴァン・アムステルダム 享年40歳
- テッリ・ハリス 享年50歳
- アレックス・アザリアン 享年45歳
- クリス・ジョンソン 享年37歳
- トレヴァー・スミス 享年30歳
- ロバートベナベンテ 享年30歳
- ハンス・ホプステッケン 享年45歳
- ストイル・ストイロフ 享年49歳
医薬品の乱用にあたる可能性が高い
また、使用する量も医師が薬用で処方する数10倍になるようです。ステロイドはホルモンのバランスを人工的に崩す医薬薬に他なりません。
専門知識もなしに薬を乱用して無事でいられる自信が私にはないので止めておきました。
日本でも輸入を制限する動きがある
ステロイドの乱用が及ぼす健康被害の可能性を受けて、日本においてステロイドの個人輸入を制限することが検討されているようです。
ナチュラルには戻れない
当然ですが、一度でもステロイドを使ってしまったらステロイドを使っていない、いわゆるナチュラルの選手とは同じ条件で戦うことはできなくなります。
特に、ステロイドは使用をやめた後長期間経つと陽性にはならなくなる一方、その効果は10年にも及ぶという報告もあります。
ルール上違反とならなかったとして、コンテストで人と競って勝ったとして“ステロイドによる勝利かもしれない”という思いを自分だけが抱き続けないといけない訳です。
宅(タク)
ステロイドを使うだけで筋肉がつくとは限らない
こういった危険を冒してステロイドを使ったとして、効果がどれだけ出るかはまちまち。
中には、全く筋肉がつかなかったと嘆いている人もいます。
宅(タク)
危険ではないステロイドだったら使っていい?
仮に体にまったく害のないアナボリック・ステロイドが発明されたとしても、その使用を認めるかどうかには議論が残るところでしょう。
選手本人より、薬の良し悪し、つまり選手に薬を提供するスポンサーの資金力/研究開発の力の方が結果に大きく影響を及ぼすとなったとき、違和感を覚える人が多いのではないでしょうか。
宅(タク)